次世代エネルギー研究 G20と
経産省、海外の知見取り込み まず仏独などの6機関
経済産業省は革新的な低燃費技術など次世代エネルギーに関する研究開発を進めるため、20カ国・地域(G20)の主要研究機関と連携する枠組みをつくる。エネルギー技術に関する海外の知見を積極的に取り込む狙い。第1弾として2020年度から同省所管の産業技術総合研究所がフランス、ドイツなど5カ国6研究機関と協力を始める。
G20の研究機関の幹部らが集まる国際会議「RD20」を11日に開き、共同研究開発の枠組みづくりを発表する。
産総研はまず仏国立科学研究センターと次世代の熱電材料の開発に取り組む。電気自動車(EV)に採用されれば、廃熱を効率的に電気エネルギーに変換でき、燃費を大幅に改善できる可能性がある。独フラウンホーファー研究所とは再生可能エネルギーを使って大量の水素エネルギーを生み出す技術を開発する。いずれも仏独が強みを持っている分野だ。
経産省は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を通じて研究プロジェクトを資金面で支援する。
共同研究の枠組みには仏独の両機関のほか、米国立再生可能エネルギー研究所、カナダ国立研究機構、オーストラリアの連邦科学産業研究機構などにも参加を呼びかけていく。
日本は産総研を軸として独仏以外の研究機関との連携案件もつくるほか、G20の多国間での協力案件も仲介する。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を再利用する「カーボンリサイクル」や、CO2の回収・貯蔵(CCS)技術などで連携する方針だ。
11日の会議ではG20各国のクリーンエネルギー技術の研究動向を整理して公表する。どの研究機関がどういった分野で技術や人材に強みを持っているかを「見える化」し、連携を後押しできるようにする。G20は6月末の大阪サミットの共同宣言で、次世代技術に関する連携を拡大する方針を打ち出していた。
エネルギーの次世代技術を巡って日本は産総研などが独自に研究開発を進めてきた。ただ気候変動問題などに対応した分野では、欧米の研究機関が先を行く分野も多いとされる。海外の機関とはこれまで案件ごとに連携してきたが、不十分との指摘もあった。
政府はG20として包括的に協力していく仕組みをつくり、技術革新につながる研究を海外から素早く取り込めるようにしたい考えだ。