月の南極の氷を探れ NASA、22年に探査車
【ワシントン=共同】米航空宇宙局(NASA)は25日、月の南極に存在する氷の分布を調べる無人探査車「バイパー」を2022年に月面に送ると発表した。24年に飛行士の月面着陸を目指す「アルテミス計画」に先立ち、将来の有人探査で飲み水などに利用できる可能性を探る。
バイパーはゴルフカートほどの大きさ。民間企業が開発する輸送手段で22年12月に月の南極に着陸させる。約100日かけて数キロ走行し、センサーで地下に氷がありそうな場所を探す。太陽光の当たり方や温度の異なる数カ所で地中1メートルまでドリルで掘り、土壌を採取して搭載装置で成分を調べる。
月では太陽光が届かないクレーター内などに水が氷の状態で存在するとみられる。飲み水だけでなく、水素と酸素に分解すればロケットの燃料として使える。NASAはどれくらいの水が利用できるか調べる狙いだ。
太古の火星の水「しょっぱい」 金沢大など推定、生命の生存に適す
金沢大の福士圭介准教授と東京工業大の関根康人教授らは米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティ」のデータから、約35億年前の火星に存在した水の成分を推定した。地球の淡水や海水と同じく中性で塩分は海水の3分の1程度、マグネシウムなどのミネラルも多かった。生命の生存に適した水質だったと考えられるという。
米ハーバード大、物質・材料研究機構との共同研究の成果で、25日付の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
探査車が訪れた火星赤道付近の「ゲール・クレーター」のデータに注目した。約35億~40億年前の火星には水が存在し、クレーター内部は湖だったと考えられている。
研究チームはクレーターの底にたまった堆積物のデータを分析し、一部の粘土鉱物に残った痕跡から当時の水質を探った。水は中性で、地球の海水の約3分の1だった塩分は「味噌汁やラーメンのスープくらいのしょっぱさ」(関根教授)という。
マグネシウムは海水の6割から海水と同程度、カルシウムは2~4倍程度を含んでいた。モンゴルの塩湖などに近い水質だった。
福士准教授は「火星に水がかつて存在しただけでなく、生命の生存に都合がいい水質だったことを初めて定量的に明らかにできた」と話す。