「インパクト投資」に課題 社会への好影響、数値化カギ
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のニューズレター「モラル・マネー」10月2日号では、社会にもたらすプラスの効果を勘案して投資先を選ぶ「インパクト投資」の実績を数値化する試みについて論じた。主な内容は以下の通り。
世界各国の首脳がニューヨーク市に集った国連総会が幕を閉じた。国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた活動が本格化することになる。
インパクト投資を推進する団体「グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク(GIIN)」のアミット・ボウリ代表は「先週は世界の首脳が集まり、SDGsの実現に尽力することを誓ったり、様々な計画を提案しあったりするなど、すばらしい1週間となった。だが、こうした発言を実行に移すための具体的な道のりを考えた途端に、酔いもさめる気分になる」と語る。
ボウリ氏の理想を実現に移すためには2つの課題に取り組まなくてはいけない。「インパクトとは何か」をきちんと定義し、そしてそのインパクトを数値化してみせる必要があるのだ。
2日にオランダ・アムステルダムで開幕したGIINの年次総会では、「インパクトの明確化」が話題の中心となっている。提供されたデータを分析したところ、インパクト投資が実際に社会に良い影響を与えていることが分かった。一例を挙げると、クリーンエネルギー分野に対するインパクト投資のおかげで、約280万人が環境負荷の少ないエネルギーを選択できるようになった。
通常、投資家は財務情報の公開を好まないが、GIINの説得に応じた。多くの投資家にとってデータの公開は初めての経験だった。ボウリ氏は「業界関係者の間で、インパクト投資市場を拡大させるために援助は惜しまないという機運が広がっている」と話す。
ボウリ氏は「金融サービスが『インパクトパフォーマンス』を新たな指標として競うように扱うようになってほしい。そうすれば、世界中が恩恵を受けることができる」と語る。