学校通わず、先生は親 ホームスクールじわり

ネットで交流 増える学習教材

学校に行かずに家庭で親と学ぶ「ホームスクール」を選ぶ子どもが増えている。インターネットの普及を背景に、地域の大人や同世代の子と交流したり、オンライン教材を使って学習したりといった環境も整いつつある。不登校の子どもの数は全国で14万人と過去最多になっている。ホームスクールを実践する親子は「学校以外で学ぶ選択肢を社会全体で理解してほしい」と話している。

「石を置いて微生物が生きられる環境をつくっているんだよ」。川崎市の住宅街にある戸建ての庭で、生駒知里さん(41)の次男(11)が自ら作ったビオトープをのぞき、誇らしげに話した。次男は地元の小学校に籍を置く5年生だが、学校にはあまり通っていない。科目にとらわれず興味のあるテーマを探求しながら在宅で学ぶ。

ビオトープ作りは近所の森林公園が主催する生物多様性のフィールドワークで発想を得た。自然科学の専門家の説明や、図書館で借りた本を基に、プラスチック容器に水を張り、水草や砂を入れてメダカを泳がせる。微生物を観察するために顕微鏡を手に入れようと思い立ち、知り合いの中学の理科教諭に電話で相談して購入した。

生駒さんは6年前にホームスクールを始めた。長男(13)が小学1年の秋に不登校になったことがきっかけだった。当初は何とか学校へ行かせようと付き添って通学した。親子ともに沈痛な面持ちで登校することに疑問を感じ、通学をあきらめた。長男は不登校の子どもの学習支援を行う民間のフリースクールにも行きたがらず自宅で過ごすことを選んだ。

その中で、生駒さんは「不登校はむしろ自由に学ぶチャンスでは」と考えるように。知り合いを自宅に呼んでパン作りを学んだり、農家や工作の名人の元を訪れたりし始めた。地域のフリースペースに子どもと遊びに行き、小学校に本を借りに行くこともある。生駒さんは「地域とつながりを持ちながら子どものペースで楽しく学べている」と話す。

各地のホームスクール実践者が連携する動きも広がる。長女(10)と長男(7)が自宅で学ぶ埼玉県越谷市の小田恵さんは、各地の親が登録できる「ホームスクーラーマップ」を18年4月にネット上に作成した。国内外の約220組の親子が登録する。

ネットでつながった親子同士らが水族館や公園などに出掛けるイベントも定期的に開く。小田さんは「子どもが学校に行かないことで、孤独感を抱えている保護者が多い。同世代の子を遊ばせられるのも安心につながっている」。在籍する小中学校の先生とのやりとりや費用、PTAの参加など「情報を交換することで安心してホームスクールを続けられる」との声が多いという。

自宅で学ぶ教材の種類も増えている。デジタル学習教材を手掛ける「すららネット」(東京)は小学校から高校までの算数(数学)、国語、英語の教材を開発し、年間約2千人の不登校発達障害の子どもが利用する。文部科学省は、自宅でIT(情報技術)を活用した学習活動をした場合、一定の条件の下で学校の出席扱いにするとしている。タブレットでアニメーションを見ながら自分で学習を進められ、学校に記録を提出して出席認定を得られる仕組みだ。

NPO法人「日本ホームスクール支援協会」(東京)の日野公三理事長は「家庭と教育委員会や学校が連携し、ホームスクール家庭が孤立しない制度を構築することが大切だ」と話す。

(松浦奈美氏)

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